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海馬

菅野彰『帰ってきた耳から海馬が駆けていく・2』を読んだ。

この方は福島在住の小説家だ。今回の本では真ん中に「震災日記」の約20日分が掲載されている(前後は普通の日常エッセイ)。
この震災日記がとても良かった。今までのどんなマスコミやジャーナリストの取材記事よりも良かったと思う。「あぁ、リアルって、こういうものなのだな」と感じさせられた。

この方は、自分では後に「被災者ではない」と云うくらいに、ユルい(と云っていいのだろうか)被災しかしていないのだけども(もっと大変な目に遭っている人達に申し訳ない、という想いのようです)。
しかし傍から見るとやはり被災者で、ゆっくりと物が無くなっていくという身近な不安と、放射能という感覚的に距離感の掴めない恐怖が、静かにここには記されている。

毎日ニュースを観ているにも関わらずあまりに能天気な「情報弱者」の母親、に呆れながら一方では、品不足に慌てて卵を買いに行き戻ってこない弟。
放射能の危険を訴える、他県のファンからのメール。
ガソリンスタンドの列。品物が無くなり閉まる店。
基準値オーバーの農産物、風評被害。

私が印象的だったのは、現実とTVとツイッターで放射能の恐怖に煽られながらも、ガソリンを節約する為に、毎日歩いて仕事場に通っている様だった。
諦めなのか、麻痺なのか、なるようにしかならない、という、とにかく「今ここ」の為に、出来る事をするしかないのだ、という静かな心が、そこにはあった。
出来る限り日常をやることで、冷静を保とうというのは、防衛機制だろうか。

まさに「ただ中に居る人」とはこういうものだな、と感じた。

あとがきだったか、自分の為には買えても、友人の為には地元産の食品を躊躇ったりしている様子とか。
そんな小さな一つ一つが、全て手触りのあるリアルな「福島の今」であった。
生活者の報告。どんなルポルタージュよりも。

もしかして、多くの福島県民はこういう風なのか、と改めて考えさせられた。多くの原発立地住民も似たようなものかもしれない。
どんな目で今、反原発デモを見ているのだろう?

あーそれにしても、菅野さんは母を情報弱者と書きながら、菅総理のことを「存在感が薄い」、枝野さんを「寝ないで働いている人」と書いている。
物凄く考えさせられた。TVに出ている人こそ働いているのだ、というイメージはこんなにも強いのか。
被災者も多くはそう思っているという事なのだろう。
みんな寝てなかったんだよー!政府の人はみんな!枝野さんだけじゃないんだよー。。。

・・・結局これが一番ショックだったのかも私的に(相変わらず菅信者である)。
目に見える、というのはこんなにも重いのかと。じゃぁ一方でパフォーマンスとか云うなよ国民よ。パフォーマンスしなきゃ評価されないんじゃないか。
TVタレントが選挙に受かるわけだ・・・。

情報弱者って云いますけど、本当にかなりの細かい、バームクーヘン並の層があるなぁと感じる。
私の下にも上にも、色んなレヴェルの情報強弱者がひしめいているのだ。
面白いのは、一番の弱者(菅野氏の母親)が一番、泰然としている、ということか。いい事かどうか分かりませんけど。

そういう風になっている、ということなのだろう。人間って。



帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく (2)
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